HealthTechのOverjet、リアルタイム歯科請求を実現する「Dental Clarity Network」を発表

歯科診療の費用見積もりは、患者や歯科医にとって厄介な問題となりがちです。AIプラットフォームを手がけるOverjetは、新たに「Dental Clarity Network」を立ち上げ、保険会社や歯科医と連携し、リアルタイムで保険適用や自己負担額を把握できるようにする取り組みを開始しました。その第一弾として導入される「ReviewPass」により、たとえば虫歯の処置が急に必要になった場合でも、診療台に座っているその場で、どの程度保険がカバーされるかや自己負担額の目安がわかるようになります。診察後に高額な請求書が突然届くといったトラブルの軽減を目指しているのが特徴です。

同ネットワークにはMetLifeやHumana、Dental Care Alliance（24州・400以上の歯科診療所を擁する大手組織）などが参加し、Overjetはこれを通じて1億人以上の歯科患者をカバーできるとしています。CEOのWardah Inam氏によれば、こうした即時請求の仕組みは、歯科医と保険会社との間に長期間生じていた煩雑な手続きを省き、コスト削減と患者体験の向上に寄与すると見込まれます。Inam氏は「患者が実際に治療を受ける時点で、保険でカバーされるかどうかがわかる世界を目指している」と語っています。

多くの歯科医院では保険プランの詳細を把握しきれず、保険会社とのやり取りに大変な時間と手間がかかっていました。一方、透明性を嫌う印象のある保険会社がこの取り組みに参加する背景としては、長期的に見て管理コストの大幅削減が見込まれ、結果的に患者や歯科医院にも恩恵があると判断している点が挙げられます。Inam氏は「患者がリアルタイムの費用情報に慣れたら、わざわざ旧来の曖昧なやり方には戻らないだろう」と述べており、今後ますます導入が広がる可能性を示唆しています。

Overjetについて  
Overjetは、AI技術を活用して歯科医療における診断や請求プロセスの効率化を図るHealthTechスタートアップです。歯科用レントゲン画像の分析などに強みを持ち、保険会社や歯科医院と連携してリアルタイムの費用見積もりと診断サポートを提供することで、患者体験の向上と医療現場の負担軽減を目指しています。