Startup Portfolio
投資審査とポートフォリオ管理を効率化するデューデリジェンスAIのDili、ファンド業務の自動化を推進
Diliは、プライベートエクイティやVCファンド向けに、投資デューデリジェンスとポートフォリオ管理の主要業務をAIで自動化するプラットフォームを開発しています。創業者のStephanie Songは、以前Coinbaseのコーポレートデベロップメントおよびベンチャー部門に在籍していた際、日々大量のデューデリジェンス業務に追われ、アナリストが膨大な時間をかけて本来望まない作業をこなしている現実に強い課題意識を持ったといいます。資本配分が慎重になる厳しい市場環境の中で、ファンド各社はチームの効率を高めつつ運営コストを抑える必要に迫られており、Diliはその課題に応える存在として立ち上げられました。
Stephanie Songは、同じく元CoinbaseのBrian Fernandez、Anand ChaturvediとともにDiliを創業しました。同社はY Combinator出身で、これまでに総額$3.6Mを調達しています。出資者にはAllianz Strategic Investments、Rebel Fund、Singularity Capital、CoreNest、Decacorn、Pioneer Fund、NVO Capital、Amino Capital、Rocketship VC、Hi2 Ventures、Gaingels、Hyper Venturesなどが含まれています。Diliは、投資ファンドにとってAIがアナリストからパートナー、バックオフィスまであらゆる業務に影響を与えると見ており、意思決定の優位性を求めるファンドにとって有力な支援基盤になり得ると位置づけています。現在の投資市場では、VCが未投資資金を大量に抱えながらも、新規投資にはこれまで以上に慎重になっています。こうした状況の中で、データを活用して投資判断の質を高め、リスクを抑える手段への関心は強まっています。Gartnerは、2025年までにVCやアーリーステージ投資家の経営レビューの75%超がAIやデータ分析によって補助されると予測しており、実際にWokelo、Ansarada、AlphaSense、Thomson Reutersなど、財務資料や市場データの分析にAIを用いる企業も増えています。その中でDiliは、特にファンド業務に合わせた精度の高いデューデリジェンス支援を強みとして差別化を図ろうとしています。
Diliによれば、同社のAIは、大量の非構造化文書から財務指標を引き出すような特定タスクにおいて高精度を実現するために、文書特性に応じた独自のインデックス化と検索パイプラインを構築しています。基盤技術としては、大規模言語モデルを活用した生成AIを用いており、まずファンドの過去の財務データや投資判断履歴をナレッジベースとして整理したうえで、未公開企業データベースの解析、デューデリジェンスリクエストリストの処理、ウェブ上の見落とされがちな数値情報の探索といった業務を自動化します。最近では、案件比較分析や業界ベンチマークの自動化にも対応を広げています。ファンドが過去と現在の案件データをアップロードすれば、それらを一つの環境で比較し、投資機会の検討を進められるようになります。Diliは、新しい投資案件やポートフォリオ企業の更新情報を受け取った際に、AIが即座に投資上のレッドフラグ、競合分析、業界ベンチマーク、予備的なサマリーやメモを、各ファンドの過去の投資パターンも踏まえて生成する世界を目指しています。
一方で、AIを投資審査やポートフォリオ管理に使う際の懸念も小さくありません。生成AIには事実誤認や情報の欠落、存在しない内容の創作といった問題があり、正確性が最重要となるデューデリジェンス業務では深刻なリスクとなり得ます。また、過去データに基づくアルゴリズムが、人種や性別に起因する既存のバイアスを意思決定に持ち込む可能性も指摘されています。さらに、一部のファームは、機密性の高い未公開情報を外部モデルに通すこと自体に慎重です。Bloomberg Lawの調査では、ディール担当弁護士の30%が、現状のAIをデューデリジェンスのいかなる段階でも使いたくないと回答しており、守秘義務違反の懸念などが理由として挙げられています。Diliはこうした不安に対応するため、幻覚の抑制と精度向上を目的に、オープンソースを含む複数のモデルを継続的に調整しているとしています。また、顧客の非公開データを自社モデルの学習に使わない方針を明確にし、今後は各ファンドが独自のオフライン保有データを使って専用モデルを構築できる仕組みも提供したい考えです。Stephanie Songは、ヘッジファンドやパブリックマーケットではテクノロジー投資が進んできた一方で、プライベートマーケットのデータにはまだ大きな未活用余地があり、Diliはそこを解き放つことができると見ています。同社は昨年、異なるタイプのファンドや銀行に所属する400人のアナリストやユーザーを対象に初期パイロットを実施しました。今後はチーム拡大と機能追加を進めながら、投資審査とポートフォリオ管理を一体で支えるエンドツーエンド型ソリューションへ発展することを狙っています。将来的には、この中核技術を資産配分プロセス全体に適用していく構想も掲げています。
Diliについて
Diliは、プライベートエクイティおよびVCファンド向けに、投資デューデリジェンスとポートフォリオ管理をAIで効率化するスタートアップです。過去の投資データや財務情報をナレッジベース化し、非構造化文書の解析、案件比較、業界ベンチマーク、投資メモ作成などを自動化することで、ファンドの意思決定速度と業務効率の向上を目指しています。Y Combinator出身企業として、将来的には投資審査から資産配分までを支える包括的な基盤になることを目標にしています。
関連ニュース








dili に興味がありますか?
最新ニュース

健康保険プランの基盤となる次世代型の第三者管理者(TPA)の"Yuzu Health"がSeries Aで$35Mを調達
2026/04/07

フロントエンド開発を組織単位で自動化するAgentic開発基盤のAutonomyAI、企業向けAIエージェント群で開発速度向上を狙う
2026/04/07

建設AIプラットフォームのMaterialspace、、内装建設プロジェクトにおける計画、価格算定、調達、実行の流れをAIで統合
2026/04/07

鉱物・地下資源探査の不確実性を下げる地中解析AIのTerra AI、大手資源企業との提携拡大とSeed調達を公表
2026/04/07

通信を妨げず不正ドローンを制御するRFサイバー対UAS技術のD-Fend Solutions、JUNO Awardsの空域警備を支援
2026/04/07
