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Generative AIのDeci.ai、NvidiaのAIエージェント戦略を加速
約1年前、米国半導体大手のNvidiaは、イスラエルのスタートアップ企業Deci.aiを買収しましたが、同社の役割が明らかになりました。Nvidiaのエンタープライズ向け生成AIソフトウェア担当副社長であるKari Briski氏によると、Deci.aiの技術は、AI言語モデルの運用に必要なパラメータやビット数を大幅に削減することに成功しているということです。Nvidiaは昨年、イスラエルのAIスタートアップRun:AIおよびDeci.aiを合計約10億ドルで買収しています。Run:AIはNvidiaのGPU能力を最大限に引き出すソリューションを開発し、規制承認に約8カ月かかったのに対し、Deci.aiは速やかに買収が完了しました。Deci.aiはすでにNvidiaのソフトウェア事業に統合され、新たな戦略の中核を担っています。特に「AIエージェント」と呼ばれる新しいAIモデルの展開を推進しており、これらは従来のチャットモデルとは異なり、質問回答だけでなく、実際の業務やタスクを遂行できる能力を持ちます。例えば、ソフトウェアコードの作成や経理業務の支援など、企業内での業務効率化を実現します。
Deci.aiの技術は、Nvidiaが展開するAIエージェント向けの推論モデル(Inference Models)の開発を支援しています。具体的には、従来70億パラメータを必要としていたモデルを49億パラメータまで削減し、さらにモデルの精度を16ビットから8ビット(FP8)へ改善し、性能を維持しながら運用効率を劇的に向上させています。Nvidiaは現在、ServiceNow、Amdocs、SAP、Salesforceといった企業と提携し、業務支援のためのAIエージェントを開発しています。そのベースとなる推論モデルはMetaが提供するオープンソースのLlamaモデルを基にした「Llama Nemotron」として無償提供されており、広く普及させた後、有料製品への誘導を目指しています。
Deci.aiは買収前、Google出身のDr. Yonatan Geifman氏、Ran El-Yaniv教授、Jonathan Eliel氏らにより設立され、高価なハードウェアを必要とせず、ソフトウェア側からAIモデルの高速化を実現することを目的としていました。Deci.aiは買収前にInsight PartnersやイスラエルのEmergeなどから5500万ドルを調達し、最終的にNvidiaによって3億ドルで買収されました。Briski氏は、NvidiaがMetaのLlamaを選んだ理由として、Llamaが企業顧客に最も広く使われており、迅速な普及が可能であった点を挙げています。また、最近高評価を得たDeepSeekのモデル「R1」の合成データを利用し、そのデータ出力をコントロールしていることも明らかにしています。
Deci.aiについて
Deci.aiはイスラエルを拠点とするAIスタートアップであり、独自のニューラルアーキテクチャを活用し、AIモデルの運用に必要な計算リソースを最小限に抑える技術を開発しています。同社の技術はNvidiaなど大手テクノロジー企業に採用され、AI運用のコスト削減と効率向上に貢献しています。
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