Startup Portfolio
Voice AIのElevenLabs、Revolut・Wayveとともに欧州テック主権キャンペーン「Built in Europe」に参画
ロンドンを本拠地とするVoice AIプラットフォーム大手のElevenLabsは、Revolut、Wayveなど欧州を代表するテック企業の創業者・経営陣とともに、欧州ベンチャーキャピタル大手Balderton Capitalが主導する新キャンペーン「Built in Europe」に参画したことが明らかになりました。本キャンペーンには100社超のスタートアップ創業者・CEOが名を連ね、米国シリコンバレーに匹敵する次世代テックリーダーを欧州から生み出すために必要な「人材、資本、野心」が、すでに欧州側にも揃っているという主張を打ち出しています。背景には、欧州連合(EU)が米国テック企業への依存を低減し、欧州独自の代替企業を支援する包括的な「テック主権(tech sovereignty)」戦略を準備していると報じられていることがあり、政策と起業家側の動きが連動しつつあります。
Balderton Capitalのジェネラルパートナーで本キャンペーンを統括するSuranga Chandratillake氏は、「Built in Europeの狙いは、議論を『ポテンシャル』から『証拠』へとシフトすることです。あまりにも長い間、欧州テックを巡る言説は『変えるべきもの』に焦点を当てすぎていました」とコメントしています。同社がまとめたデータによれば、欧州のテックセクターは現在6.7兆ドル規模に達し、GDP比は10年前の4%から15%へと拡大しており、もはや「ポテンシャル」ではなく実態として欧州経済の中核を担う産業となっています。本キャンペーンに参画する顔ぶれも象徴的で、AI領域のElevenLabs、Mistral AI、Synthesia、Lovableのほか、フィンテック大手のRevolut、英国発の自動運転スケールアップWayveなど、現在欧州で最もスケールしているスタートアップ群が中核を担います。Lovable共同創業者のAnton Osika氏は、「欧州から作るのに、今ほど良いタイミングは過去にありませんでした。タレントもここにあり、資本もここにあり、エコシステムもここにあります」と述べています。
欧州の中でも特に英国の役割が大きく、ロンドンは欧州を代表するAIおよびスタートアップハブの一つとしてキャンペーンの中心的位置を占めています。Wayveは英国政府と自動運転車展開を加速するパートナーシップを結んだばかりで、ロンドンで創業したElevenLabsについても、現在約110億ドル規模の評価額で新たな資金調達を協議中であると報じられており、欧州で最も価値の高いAIスタートアップの一角を確固たるものとしつつあります。本キャンペーンは、欧州の有力スタートアップが成熟するにつれて米国でのファンディング、上場、買収を選び、結果としてイノベーションの経済的果実が欧州外で取り込まれてきたという「スケールアップ流出」への政策的危機感とも共鳴しており、Balderton Capital自身も欧州スタートアップ1,000社の求人を集約する新たな雇用プラットフォームを立ち上げ、欧州エコシステム内に人材を留めるための具体策を打ち出しています。ElevenLabsを含む参画企業にとっては、欧州主導の規制・産業政策が形成される中で、ロビイング・人材・資本獲得・公共調達アクセスの面で「欧州発企業」というアイデンティティを戦略的資産として活用しうる、極めて重要な局面が訪れていると言えます。
ElevenLabsについて
ElevenLabsは、2022年にポーランド出身の幼なじみであるMati Staniszewski氏(共同創業者兼CEO、元PalantirのDeployment Strategist)とPiotr Dąbkowski氏(共同創業者兼Co-founder of Research、元Google DeepMindの機械学習エンジニア)によって創業された、生成AIによる音声・会話プラットフォームを提供するスタートアップで、本社をロンドンに置きつつ、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワルシャワ、ダブリン、東京、ソウル、シンガポール、ベンガルール、シドニー、サンパウロ、ベルリン、パリ、メキシコシティといった世界十数都市に拠点を構え、約400名超の従業員を擁しています。創業の動機は、両氏が「英語コンテンツの吹替版(ダビング)の質の低さ」に共通の不満を抱いていたことで、これを起点として「あらゆるコンテンツを、あらゆる声・言語・サウンドで普遍的にアクセス可能にする」というミッションを掲げ、「音声版OpenAI」と評されるカテゴリリーダーへと成長しました。製品ラインは、フラッグシップの音声生成・クローニング基盤モデル「Eleven v3」を中心に、対話型音声エージェント「ElevenAgents」、クリエイター・スタジオ向け「ElevenCreative」、開発者向け「ElevenAPI」、音楽生成「Eleven Music」、リアルタイム文字起こし「Scribe v2 Realtime」、エージェントワークフロー、AIアシスタント「11ai」などを揃え、70以上の言語をサポートします。資金調達面では、2024年1月のSeries B(8,000万ドル)、2025年1月のSeries C(1.8億ドル、a16zとICONIQ Growth共同主導、評価額33億ドル)に続き、2026年2月にはSequoia Capital主導の5億ドルのSeries Dを実施し、評価額は110億ドル、累計調達額は約7.81億ドルに到達。a16zは出資額を4倍、ICONIQは3倍に増額し、Lightspeed Venture Partners、Evantic Capital、BOND、NEA、World Innovation Lab、Valor、Endeavor Catalyst Fund、Lunate、Smash Capital、NFDG、BroadLight Capital、Salesforce Ventures、Deutsche Telekom、LG Technology Ventures、HubSpot Ventures、NTT DOCOMO Ventures、RingCentral Venturesらも出資者に名を連ねます。クライアントにはDeliveroo、Deutsche Telekom、Square、Revolut、ウクライナ政府などのエンタープライズに加え、The New Yorker、The Washington Post、The Atlanticといったメディア、Paradox、Cloud Imperium Gamesといったゲームスタジオが含まれ、フォーチュン500企業の60%が同社プラットフォームを採用、2024年末時点でARR9,000万ドル超(前年比約260%増)と急成長を遂げ、すでに黒字化を達成。将来的にはIPOも視野に入れる、欧州発フロンティアAIを象徴する存在となっています。
関連ニュース
ElevenLabs に興味がありますか?
最新ニュース

米国DefenceTech注目株の"Mach Industries"がSeries Cで$300Mを調達し評価額は$1.8Bに拡大
2026/06/02

テキストプロンプトを通じてミニアプリを作成できるプラットフォームを構築する"Sekai"がSeries Aで$20Mを調達
2026/06/02

生成AI映像技術のLuma AI、サウジアラビアへ計算インフラを展開しグローバルAI基盤を強化
2026/06/02

AIセキュリティのHorizon3.ai、AI攻撃時代に対応するRapid Responseサービスを提供開始
2026/06/02

Video AIのTwelveLabs、動画理解AIをクリエイター向けに提供開始
2026/06/02





