Startup Portfolio
Quantum Machines、Rigetti Computingの「Novera」QPUの新性能マイルストーンを達成
イスラエル発のハイブリッド量子・古典制御ソリューション大手であるQuantum Machines(QM)は、自社の「OPX1000」ハードウェアと「QUAlibrate」ソフトウェアを用いて、Rigetti Computingが商用提供する超伝導量子プロセッサ「Novera」を稼働させ、中央値99.5%の2量子ビットゲートフィデリティを達成したと発表しました。同社によれば、これはRigetti社と量子制御パートナー企業との間で実現された、Novera QPUにおける現時点で最高水準のフルシステム性能とされ、量子コンピューティングのより広範な産業導入への道を切り拓く重要なマイルストーンとなります。Rigetti ComputingのNoveraは、研究開発ラボにおけるオンプレミス展開向けに設計された、商用提供型の9量子ビット超伝導量子プロセッサ(QPU)です。同プロセッサは、Rigettiのより大規模な超伝導量子システムと同一の基盤アーキテクチャに基づいており、組織が自前の環境で本格的な超伝導量子計算を行うための代表的な選択肢となっています。
今回の検証は、QMのチームがRigettiの現地に常駐し、OPX1000制御スタックとキャリブレーション自動化ソフトウェア「QUAlibrate」を用いて、Novera全体をキャリブレーションし運用するというものでした。その結果、利用可能な11個の量子ビットカップリングすべてにわたり、Rigettiが設定する目標値である中央値99.5%の2量子ビットゲートフィデリティを達成し、加えて9量子ビット全体で中央値99.93%の単一量子ビットフィデリティも実現しました。すなわち、プロセッサ全体にわたって低エラー率の量子操作が一貫して可能となったことを意味します。このマイルストーンは、先端的な超伝導量子プロセッサが、ハードウェア開発元の内製環境の外でも、安定かつ高性能な動作を実現できることを示すものです。量子コンピューティングが国立研究機関や商用展開へと広がるなかで、特筆すべき進展となります。Quantum MachinesのQuantum Orchestration PlatformとRigettiのNovera QPUは、すでにFermilab、Montana State University、Horizon Quantum、そしてTreQの大規模マルチQPUシステムなど、多数の組織に導入されています。
Quantum MachinesのCEOであるItamar Sivanは次のようにコメントしています。「システムがスケールするにつれて、キャリブレーションとオーケストレーションは基盤インフラ上の重要課題となります。量子コンピューティングの未来は、より優れた量子ビットだけでなく、増え続ける多様な環境のもとで、複雑化するシステムを確実に動作させ続けられる能力にかかっています」。同社CTOのYonatan Cohenも次のように述べています。「商用展開された超伝導量子プロセッサが、QMのOrchestration Platformを用いて極めて高い水準でキャリブレーションおよび運用できることを示しました。これは、スケーラブルな量子コンピューティングをより広範なエコシステムに展開していくうえでの重要な一歩です」。Rigetti ComputingのSVP Quantum SystemsであるAndrew Bestwickも次のように述べています。「Noveraは、Rigettiの超伝導量子技術への柔軟なアクセスを提供することを目的に設計されました。今回の結果は、量子コンピューティング・エコシステム全体が成熟してきていることを示すとともに、QMのOrchestration Platformのような外部の制御・ソフトウェアスタックを用いても、ハイパフォーマンスな動作が可能であることを実証しています」。
QMが用いたキャリブレーション・制御ワークフローには、自動化されたキャリブレーション・ルーチン、デバイス全体にわたる並列化されたチューニング、リアルタイム制御の最適化、そしてシステムレベルの継続的なパフォーマンスモニタリングが含まれています。背景には、量子コンピューティング業界における大きな変化があります。従来、最先端の超伝導量子の性能を引き出すには、QPU開発企業が内製してきた高度に専門的な手動チューニングとキャリブレーションのワークフローに依存することが少なくありませんでした。しかし、量子プロセッサが広く普及するなかで、スケーラブルな運用には、量子ビット・ハードウェアそのものに加え、制御インフラ、キャリブレーション自動化、リアルタイムフィードバック、そして統合された量子・古典インフラが不可欠となっています。なお、TreQは独自の「Open Architecture Quantum(OAQ)」仕様の開発に向けたマルチQPUシステムにおいて、Rigetti Noveraと組み合わせる制御スタックとしてOPX1000を採用しています。今回の成果は、Noveraプラットフォーム自体の性能と、フル・デバイスにわたって再現性のある高フィデリティ動作を実現するうえでの統合制御・キャリブレーション・自動化スタックの役割の双方を裏付けるものとなりました。
Quantum Machinesについて
Quantum Machinesは、2018年にイスラエル・ワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)出身の物理学博士であるItamar Sivan、Yonatan Cohen、Nissim Ofekの3名により、イスラエルのテルアビブで設立された、ハイブリッド量子・古典制御ソリューションのグローバルリーダーです。同社は、QPU(量子プロセッサ)そのものではなく、量子プロセッサを動作させるための「制御層」、すなわち量子コンピュータの「頭脳」にあたる部分を提供することで、量子コンピューティング・スタックの中で従来見過ごされてきた重要な層を担っています。
主力プラットフォームは「Quantum Orchestration Platform(QOP)」で、その中核となるハードウェアがFPGAベースの制御システム「OPX」シリーズ(OPX+、OPX1000など)です。OPX1000は1,000量子ビット規模までのサポートを想定しており、次世代システムでは20,000量子ビット規模を視野に入れています。同時に、ユーザーは独自のプログラミング言語「QUA」を用いて、パルスレベルの制御から古典演算との連携、リアルタイム意思決定までを統合的に記述でき、キャリブレーション自動化ソフトウェア「QUAlibrate」と組み合わせてシステム全体のスケーラブルな運用を実現します。プラットフォームは、超伝導、トラップドイオン、中性原子など、多様な量子ビット方式に対応するモダリティ非依存型の設計となっています。
総調達額は2.8億ドル超に達しており、2025年2月にはPSG Equityがリードし、Intel CapitalやRed Dot Capital Partnersなどが参画する1.7億ドルのシリーズCラウンドを完了しました。その他の主要投資家には、Battery Ventures、Qualcomm Ventures、Harel Groupなどが名を連ねます。同社は、イスラエル国家量子イニシアチブ(Israel National Quantum Initiative)の一環として、同国初の量子コンピューティングセンター「Israeli Quantum Computing Center(IQCC)」の運営も担っており、NVIDIAと共同開発した量子・古典統合計算システム「DGX Quantum」など、戦略的パートナーシップを通じてグローバルな量子コンピューティングエコシステムの中核的存在となっています。
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