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FinTechのPayZen、「医療費後払い」で米国の医療債務問題に挑む
米国の医療費は高騰が続き、多くの人が治療費を支払えずに医療債務を抱える状況が深刻化しています。こうした状況を背景に、サンフランシスコ発のスタートアップPayZenが「医療費後払い(Care Now, Pay Later)」という新しい支払いモデルで、患者が無理なく医療費を支払える仕組みを提供しています。
米国では、近年の保険制度の変化により自己負担額が増加し、医療債務は現在約2,200億ドル(約20兆円)に達しています。約2,000万人の米国人が医療費負債を抱え、そのうち1,000ドル以上の債務を抱える人は1,400万人、1万ドル以上の債務を抱える人も約300万人にのぼります。医療機関はこうした患者向けに低金利または無利息の長期支払いオプションをほとんど提供しておらず、多くの患者は高額な自己負担分を一括または短期間で支払うことを余儀なくされています。
PayZenはこうした課題に対処するために生まれました。AIを活用し、患者それぞれの経済状況に応じた柔軟な支払いプランを作成します。患者が手術や緊急医療を受ける際に生じる1,000ドル以上の自己負担金を、金利や手数料なしで無理のない月額払いで支払えるようにします。また、医療機関に対しては、未払い債務の管理、回収サービス、債務ポートフォリオの買い取りなどを提供しています。医療機関側から手数料を受け取るビジネスモデルであり、患者側には一切の追加費用がかからないことが特徴です。
PayZenは2023年8月、ベンチャーキャピタルのNew Enterprise Associatesをリード投資家として、3,200万ドルの株式資金調達に加え、2億ドルの信用枠を確保しました。米国の医療債務問題の深刻化を背景に、こうした医療費後払いモデルは注目を集めており、他にもCherry Technologies、LendingClub Patient Solutions、Sunbitなど多数の企業が医療向けの融資サービスを展開しています。
規制当局もこうした医療債務問題を注視しています。一部の州では医療債務の売却や高利貸しを制限する法律が制定されつつあり、PayZenは規制当局に対し、自社が患者に金利や手数料を課さない独自のビジネスモデルであることを理解してもらうための働きかけを強化しています。
PayZenの共同創業者兼CEOであるItzik Cohenは、米国の医療費負担が患者に深刻な経済的ストレスを与えている現状を変えることを目的に2019年に同社を設立しました。同社の最終的な目標は、患者が安心して医療を受けられる環境を整え、医療費の問題で医療を諦めざるを得ない人々を減らすことにあります。
PayZenについて
PayZenは、患者向けの低負担・無利息の医療費支払いソリューションを提供するスタートアップです。AIを活用し、個人の経済状況に応じたカスタマイズされた支払いプランを構築します。医療機関の債務回収率を向上させることで、患者と医療機関双方に利益をもたらしています。
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